華ざかり

梅から凍えるように白木蓮が咲き
春めいた風がようやく過ぎて
染井吉野から桃、八重桜へと桃色が移って
そろそろ花水木の花が咲く頃
花に溢れたこの時期は
肌で感じるより先に
木々や足元から季節が香るようで好き
キャンパスの大銀杏も
新芽が吹きこぼれはじめたところ
多少歩くけれど
弥生の奥の奥にある棲み家でよかったと思う
両脇の銀杏並木を抜けて大銀杏を横切り
背の低いどんぐり林をくぐって
メタセコイヤを回って
やんわりとした下り坂
この建物に暮らさなければ堪能できなかったはず
裏手の農場を横切るルートもいい
初夏を迎えると
びっくりするほど盛大な蛙の合唱が聞こえて
しんとした図書館の重みも
この学科特有の空気があっていい


いつかこの目に見た景色を
懐かしく思い出す日が来るのでしょう
思いを馳せて